高松高等裁判所 昭和27年(う)254号 判決
原判決の挙げている証拠を調べてみても被告人が判示二回の窃盗をしたと認められるべき直接の証拠がないのは所論の通りであるけれどもそれ等証拠を綜合すれば (イ)判示谷本赫次方において昭和二六年一〇月八日午後五時頃から翌九日午前七時頃までの間に鶏九羽を盗まれたこと及その被害の鶏九羽を九日午前八時頃(この日時は証人長尾栄太郎、長尾マツヱ、市原硯次の証言で明らかなところである)被告人が持参したのを長尾栄太郎が買受けたこと (ロ)又亦右谷本方において同月二〇日午前一時頃鶏五羽を盗まれたこと及その被害鶏五羽を同日午前七時半頃被告人が長尾栄太郎方に売りに来たこと 右(イ)の頃並(ロ)の頃被告人は肩書の扮所村扮所東所在の住居に居たこと等が認められるしその扮所東と被害者谷本赫次の住居する由佐村由佐とは余り距つていないことが窺われるから判示犯罪事実は其証明が十分である。しかも記録を仔細に検討しても被告人が弁疎するように鶏は被告人が橋本某から買受けたという橋本某の実在することは勿論買受けの事実をも確認することができないから原審の認定に誤りはなく又それを認めるに足る証拠がないと言うような違法もないから論旨は採用できない。